4年も前に出版された本ではありますが、Kindle版が出たので読んでみました。
任天堂の商品、つまり主にゲームですが、それらがどんな考え方で作られているのか、山内前社長や岩田社長たちが、自ら発言をしている貴重な本であります。
なぜこのような本がもっと他にないのか不思議なところですが、それは任天堂が外から経営を語られることも、称えられることもよしとしないため、個別の取材を受けないのだとか。
──自分たちの思いはすべてゲーム機やソフトに込めてある。
商品の広報はいくらでもするけど、経営や理念を語らず、娯楽の創造に徹する任天堂。
たしかに任天堂の歴代ハードは、個々のユニークな思想を辿ってみるだけでも面白いのです。
各ハードがどういう経緯で発売されたのか、経営面から時系列でふり返ってみると、絶えずゲームに触れてきた私も知らないことがあり、「へぇー!」と感心しながら読むことができました。
その意味では、『横井軍平ゲーム館』とはまた違った趣向の本になっています。
変化の速いゲーム業界において、4年前の本なんて古いのでは……と懸念するところですが、任天堂の守りつづける哲学は、何も変わっていません。
現行機のWii Uとニンテンドー3DSについては、もちろん書かれていませんが、これを読めばその整合性にゾクッとすることでしょう。
ゲームファンとして、やっぱり任天堂には足を向けて寝られないと思える1冊でした。
フィルムアート社